ヘリテージング
老橋は死なず タウシュベツ川橋梁(きょうりょう)

タウシュベツ川橋梁(きょうりょう)は北海道・東大雪国立公園の糠平(ぬかびら)湖に沈むコンクリート製の廃線橋だ。鹿児島県大口市の曽木(そぎ)発電所も大鶴湖に沈んでいる。いずれも湖底に沈む近代遺産だが、湖の水位が下がる季節になると姿を現す魅力あるヘリテージング・スポットだ。
電源開発だの水防工事だの、人間社会の都合で湖底に遺棄されたはずの建造物が、風化崩落の末路をたどりながらも、なお季節を待って湖面に姿を現し、存在を示し続けている。 士幌(しほろ)線は、帯広から音更(おとふけ)川に沿って北上し石狩山地の十(と)勝三(かちみつ)股(また)に至る78.3キロの路線。大正14年に上士幌

までの区間が完成し、全線が開通したのは昭和14年のことだ。音更川上流の山岳地帯では、何度も谷や沢を渡る必要があり、長短いくつもの橋梁(きょうりょう)が架けられた。 戦後、糠平ダム建設のため迂回線が新設され、その時に旧線の大部分が人造湖に沈んだ。昭和62年に廃線が決まり、沿線には50余のアーチ橋とひとつの沈める橋が残された。
日本最大のアーチ橋群を惜しむ住民の声に、上士幌町が動いた。糠平湖周辺の線路跡地を国鉄清算事業団から購入し、人口わずか5500の町が33本の橋梁群を取得した。
その住民運動は「ひがし大雪アーチ橋友の会」(電話01564-2-3385)という熱心な

NPOを生み、案内板の設置や線路跡の草刈、散策路の整備、遠足の実施など精力的な活動を展開している。
タウシュベツ川橋梁は、雪解け水でダムの水位が上がる6月頃から水没を始め、秋が深まるにつれ湖底に姿を消す。そして水かさが減る1月頃から凍結した湖面に再び浮上する。
全長130m、11のアーチを連ねるこの白い橋は、橋梁群の中で最も長く、最も美しく、そして最も哀しい。「タ・ウシュ・ベツ」、アイヌ語で「たくさんの白樺が生える沢」。この橋が眺めていたに違いない白樺の沢はどこへ行ってしまったのだろう。この橋も、後どのくらいの繰り返しで、どこへ行ってしまうのだろう。

 

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Information

【お問い合せ】

NPOひがし大雪アーチ橋友の会
◆URL
http://www3.ocn.ne.jp/~arch/

【アクセス】

 
◆車
帯広から約38km(約40分)
釧路から160km(約2時間40分)
札幌から250km(約3時間40分)
◆空路
帯広空港から車で70km(約1時間10分)