ヘリテージング
なんでこんなに、カワイイのか 旭浄水場

古今東西を問わず政治とは派閥の営みといわれるが、明治政府の藩閥政治ほどロコツな例はないだろう。いわゆる「薩長土肥」という官軍集団の中でも、土佐人は主流派になれなかった。
新政府が樹立し近代化が推し進められる段階で、多くの土佐人は疎外され、自由民権運動が盛んになると、高知はむしろ反政府勢力と見なされるようになった。このため、遠い高知県への資本投資、産業・文化振興について中央政府の態度は冷淡であり、その結果、高知は近代化の流れから取り残されてしまう。鹿児島、山口、佐賀には、その輝かしい時代につながる記念物が、さまざまな形で残されているが、維新の立て役者、坂本龍馬の地元

高知だけが、そうした痕跡を持たない。
大正15年、明治期のうっぷんを晴らすかのように、鮮やかな洋館群が旧旭村に出現した。「旭浄水場」。ディズニーランドを見慣れたお嬢さんでも、ひと目でこういうだろう。「カーワイイ」。
「かわいい」という形容詞は、近頃さまざまなニュアンスで使われるようだが、この場合、美しいとか、メルヘンみたいとか、わたし好きよとか、そんな意味合いだ。
ルネサンス様式の正門を入るとすぐに、3つのろ過池がならんでいる。そのほとりに建つのが見るものの表情を一瞬にしてナゴませてしまう、魔法のポンプ室だ。赤レンガの壁に白い帯、白枠に縁取られたアーチ窓の奥には、送水ポンプなどという

無骨な機械ではなくメルヘンの主人公でも住んでいそうな雰囲気だ。
ポンプ室の左奥にはビザンチン風の六角屋根。これが施設の管理事務所。緑の岡の上には、何の施設なのか、とんがり帽子の赤い屋根がちょこんと鎮座している。第2ポンプ室だの、流量調整室だの、配水計量所だのといかめしい名前を一応つけてはいるが、結局どれもかわいい。横浜関内の名物ビルみたいに、「クイーン塔」とか「ジャック塔」のような愛称をつけたくなる。高知市水道局の現役の浄水場につき、ヘリテージングするにはあらかじめ電話連絡をしてから行くこと。(電話088-844-2015)浄水場に限らず、配水塔とか

給水塔とか、全国に残る古い水道施設は、概しておしゃれなものが多い。そのためか、ヘリテージングの中でも、「水モノ」のファンは結構多いようだ。
名古屋の「東山給水塔」「旧稲葉地配水塔」、高岡市清水町の給水塔、水戸の低区配水塔、東京駒沢や野方の配水塔など全国には名物給水塔が数多くある。
さて旭浄水場の「メルヘン建築群」だが、一説によると、水道は近代生活のシンボルとされ、それらしい外観にしようと設計者が知恵をしぼったあげく、西洋建築の「イイトコ取り」をした結果なのだそうだ。

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Information

【お問い合せ】

高知市水道局 浄水課 旭浄水場
〒780-0955
高知県高知市旭天神町184
TEL:088-844-2015

【アクセス】

 
◆電車
JR土讃線 旭駅下車徒歩約10分
◆車
高知自動車道伊野インターチェンジから約15分