ヘリテージング
奇妙(きみょう)、奇天烈(きてれつ)、奇怪(きっかい)、綺麗(きれい) 旧開智(かいち)学校
日本の古い西洋館や洋風建築の写真集を眺めていると、重厚な赤レンガ建築とは対照的に、なんの冗談かと目を疑いたくなるようなケバケバしい建物が登場する。その奔放(ほんぽう)なスタイルは、しかし決して不快なものではなくむしろ美しいとさえ思える。
「擬洋風(ぎようふう)」という日本独特の古い建築様式であることを知ったのは、松本市にある旧開智学校のおかげだ。写真を見てその虜(とりこ)になる人は多いに違いない。
中央高速自動車道・岡谷JCTで長野自動車道に入り松本ICで降りる。
松本市内、松本城の近くにある開智学校はすぐに分かる。開智小学校のモダン
な校舎の隣に建つ擬洋風独特なスタイルは遠くからでもよく目立つからだ。松本の大工棟梁・立石(たていし)清重(せいじゅう)も東京へ出向き、新橋駅の設計者ブリジンスの弟子・林忠恕(ただひろ)が設計した開成学校(東大の前身)をお手本として開智学校を建てた。
一見洋風、しかしよく見ると大工のDNAともいうべき和のセンスが随所に顔をのぞかせている。こうして世界にも類のない、そして日本でも限られた時期にしか造られなかった「擬洋風建築」が生まれたのだ。
昭和38年、開智学校は90年間に及ぶ歴史の幕を閉じる。いまは明治、大正、昭和の教育資料を展示する博物館として
一般に公開されている。木の下駄箱がずらりと並ぶ入り口で靴をぬぐと、遠い時代の子供たちの歌い騒ぐ声が聞こえるようだ。
松本で発行されていた信飛(しんぴ)新聞、明治9年4月21日の報道。(展示解説図録より)
「去る十八日ハ南深志町女鳥羽川岸に新建築(フシン)の開智学校上棟(ムネアゲ)の式ありて松本市中(マチ)の老幼(トシヨリ)男女(コドモ)ハ云に及ばず近郷(キンゲフ)近在(ザイ)の娘(ムスメ)子供が見物に出かけたので人力車の通行(トホリ)も止(トマ)り馬の行来(ユキキ)もならぬ程雑沓(コミアイ)ました。開智学校ハ筑摩県下中学区内第一の小学校なれど実に横浜
の高島学校よりも広大(オホキ)にて、山梨県の師範学校よりも華麗(キレイ)で土地 (トコロ)自慢(ジマン)でハござらぬが建築の出来ハ目今(タダイマ)日本第一等の小学校と申しても新聞屋の過賞(ホメスギ)では決してござりますまい」と、手放しで土地(トコロ)自慢(ジマン)をしている。
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Information

【案内】

 
◆開館時間
8:30〜17:00 (入館は4時30分まで)
◆休館日
12月から2月までの月曜日(休日の場合翌日)及び休日の翌日
◆観覧料
300円/小中学生:150円

【お問い合せ】

松本市立博物館附属施設
重要文化財旧開智学校管理事務所
〒390-0876
長野県松本市開智2丁目4-12
TEL:0263-32-5725
 

【アクセス】

 
◆バス
タウンスニーカー(100円バス)北コース「鷹匠町」下車北へ徒歩5分
松本駅前から北市内線「蟻ヶ崎高校前」下車東へ徒歩5分
◆車
長野道松本インターチェンジから15分
◆徒歩
松本駅から25分
松本城公園(松本城・市立博物館)から北へ10分