ヘリテージング
がんばれ、明知鉄道 大正村
明治村は有名だが、日本には大正村や昭和村もある。改めて時代をテーマとする観光アミューズメント施設を調べてみると、昭和30年代ものが多いことに気づく。話題の豊後(ぶんご)高田市「昭和の町」をはじめ、お台場にある「台場一丁目商店街」。千葉のスーパー銭湯(せんとう)みはま「湯快(ゆかい) 爽快(そうかい)湯けむり横丁」などなど。
西岸良平の漫画「夕焼けの詩」に描かれた懐かしい世界だ。この趣向、魅力はあるが流行ものの感は否めない。時代の風格、醗酵(はっこう)具合からすると昭和30年代はまだまだ若過ぎる。ヘリテージングの対象にはならない。
岐阜県明智(あけち)町の「日本大正村」
は昭和59年に発足した。発足したとはいえ入場ゲートをつくってお城を建てたわけではない。古くなった町役場の建物に「日本大正村役場」の看板を掛けただけのこと。
大正村構想とは、過疎(かそ)化に悩む明智町と恵那(えな)市を結ぶ当時の国鉄明知線の存続問題から生まれた。赤字路線の鉄道が廃止されれば過疎化はますます進んでしまう。そこで第3セクターによる明知鉄道が誕生し明智町の町長が社長に就任する。過疎化の歯止めと観光客の増加という大きな期待を背負った大正村構想であり明知鉄道のスタートだった。
従って、大正村へはこの明知鉄道を使って行くのがスジというものだ。恵那発9時
15分の3番列車に乗りこむと明智駅には10時4分に着く。全長21.1キロ。たった1輌のディーゼルカーは時速3、40キロが体感速度。実にノロい。その代わり車窓の景色が飛んで行かない、畑も飛ばない家も飛ばない、おかげで東美濃(みの)の里山風景をじっくり堪能(たんのう)できる。生活路線としてはあまり悠長(ゆうちょう)なこともいっていられないのだろうがノロさを誇る鉄道があってもいいのではないか。それが大正時代へ繋(つな)がるタイムマシン代わりの乗り物であるのならば、そのほうが楽しい。
2時間ほどかけて村の中を歩き回る。明治村などと違いここは実際に人が生活する居住地域だ。ゆえにどこを向いても大正時代というわけにはいかない。それでも、
木造洋館の村役場、ガラガラっと引き戸を開ける郵便局、黒い羽目板の大正路地(ろじ)……。観光地としての華々(はなばな)しさには欠けるけれど、眼を凝(こ)らせば何かが見つかる楽しさがある。明知鉄道をはじめ心なごませる観光の原石があちらこちらで光っている。
名誉村長など村の功労者ゆかりの品々が派手(はで)な西洋館に展示されていたが、大正村ヘリテージングに来た人間としては、大正琴でもいい、大正海老のカレーでもいい、とにかく大正にこだわった集積を楽しみたいものだ。「見世物商売」から「町並み産業」へ、村にある懐かしさの素材(ヘリテージング資源)の活用レベルが高まれば、大正村はもっと広域的なヘリテージング名所になるだろう。
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Information

【案内】

 
◆開館時間
9:00〜17:00 (入場は16:30まで)
◆休館日
年末年始(12月31日から1月1日)
◆観覧料
  日本大正村運営の有料施設すべて入館することができるチケットです。
大正ロマン館・大正村資料館でお買い求めいただけます。
大人1人 500円(高校生以上)
小人1人 300円(小中学生)

【お問い合せ】

  日本大正村事務局(日本大正村役場)
    〒509-7731
岐阜県恵那市明智町1884-3
TEL:0573-54-3944
◆URL
http://www.nihon-taishomura.or.jp/contents/index.html
 

【アクセス】

 
◆電車
JR中央線 瑞浪駅下車 東鉄バス 約45分
JR央線 恵那駅下車 明智鉄道 約50分
明智鉄道明智駅から徒歩5分
◆車
中央自動車道「瑞浪」インターチェンジより約30分
中央自動車道「恵那」インターチェンジより約30分