ヘリテージング
キレイ過ぎるかもしれない 門司港レトロ地区
あの門司港駅に降り立った。改札を出る辺りからレトロが始まる。わざわざステンレスから木製に改められたという改札口。コンコースの出札窓口には出ひさしが復元され、「切符賣場」の文字もいい味を出している。トイレの脇には古びた青銅製の手水(ちょうず)鉢。大正3年の駅舎落成のときからあるもので、戦時中の貴金属供出からも逃れ、そのまま90年間ここで時間旅行を続けている。「幸運の手水鉢」というのだそうだ。
外に出てまっすぐ前に20歩、そこで止まって回れ右をしてほしい。そこに見えるのが、昭和63年、現役のまま重要文化財に指定された門司港駅。ルネサンス風木造二階建てと紹介されるスペック以上の風
格を備えている。同年生まれの東京駅をさしおいて、最初に国の重要文化財に指定された駅舎の姿である。なお、駅前のレトロ広場には水溜まりのない噴水があるので、歩数を間違えないように。
昭和初期、子供たちは学校で「門司は神戸、横浜とともに日本の三大港です」と習った。それが門司の子供たちの誇りだったそうだ。信じられないような話だが、大正5年の外国貿易出入港船舶数は、神戸、横浜を押さえ門司が全国トップだったのである。
町は「一丁ロンドン」と呼ばれ、現在の桟橋通りから鎮西橋(ちんぜいばし)まで300メートルくらいの間に、銀行や商船会社などの西洋館が建ち並びまるでロンドンのよ
うであったという。
レトロ地区周辺には、明治、大正、昭和初期に建てられた歴史的建造物が18棟も残されている。門司最盛期の証である。中でも異彩を放つのが、重文指定の門司三井倶楽部、旧大阪商船、旧門司税関の建物だ。いずれもギャラリーや資料館として公開されている。
レトロ事業で美しく整備された第一船だまりのほとりには、ぴかぴかの門司港ホテルと海峡プラザが建ち、電線が姿を消し、御影石が敷き詰められ、街路灯はグッドデザイン賞を受賞している。難をいえばきれい過ぎ。新興のテーマパークの一角にいるようだ。
 
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Information

【アクセス】

 
◆車
国道199号線を利用して、小倉市街から約20分
九州自動車道門司ICより8分
北九州都市高速道路春日ランプより5分