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観光名所で「3大ガッカリ」などという風評レッテル貼りがあるそうだ。いうまでもなく、知名度が高いわりに実際に行ってみると期待はずれな場所を指す。しかし、期待はずれの責任は期待されたほうが一方的に背負う筋合いはない。 「日本3大ガッカリ」で札幌の時計台を挙げる方は、時計台にいったいどんなことを期待するのか。「ビルの谷間で、雰囲気がイマイチだった」なんていう話をよく聞くが、それは時計台の責任ではない。時計台の何たるかも確かめず、勝手にロマンチック・ムードの対象にしてしまった人の責任だ。 ヘリテージングとは、ある年齢を超えないと生じない感性、これを「境地」といってもいいのだが、この境地に達しないと味わうことがムズカシイ。 灯台や教会のように、感動しやすい姿をしているものばかりとは限らない。感動できるかどうかは芸術と同様、鑑賞者のほうの素養にも関わってくる。 |
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ところで札幌はサッポロビールが造った町だ。その証拠に、町の古い建物にはすべてビールの瓶や缶と同じ星のマークがついているではないか、というヒトがいるとか。札幌の捉(とら)え方としてはおおむね正しい。
この町が歩んだ北海道開拓の歴史のシンボルがこの星のマークなのだ。その昔、北海道開拓団が旗印に選んだのは、北天に輝く北極星。開拓使の所有船や建物、北海道産を示すものにはすべて赤い星が描かれた。 試みに市内の建築物を調べてみるといい。「時計台」の正面には5つもの赤い星が見つかるだろう。「北海道庁旧本庁舎」の屋根の上、5つのドーマー窓にもくっきりと赤い星が見えるはず。「豊平館(ほうへいかん)」にも「札幌市資料館」の頂塔の上にも星のマークが付いている。 |